FA選手の残留交渉と他選手の契約更改から見る横浜と中日の経営方針の違い
前回は、梶谷選手と井納選手の移籍の意味合いについて書きましたが、
今回はこの話題をさらに掘り下げていきたいと思います。
まずは前回のおさらいをしたいと思います。
横浜ベイスターズの経営方針は、FA残留交渉でマネーゲームに応じず、FA選手以外の契約更改でしっかりお金を使うという方針です。
通常の契約更改でしっかりした査定を行えないリスクを負ってまで、FAでマネーゲームを展開することはありません。
今年の各球団の契約更改の中で、横浜ベイスターズの経営方針に真っ向から対立する経営を行う球団があります。
それは、中日ドラゴンズです。
中日は、今年FA宣言の可能性があった大野雄大選手の残留交渉に多額の資金を投じました。年俸3億円、出来高5000万円を3年契約。
コロナで経営が苦しい中で、中日はよくここまでの資金を投じることができたと思いますが、
しかしその副作用も少なからずありました。
それは、大野雄大選手以外の選手の契約更改で、厳しめの査定を行わざるを得なかったことです。
その結果、選手からの不満が噴き出て、保留者が続出し、終いにはプロ野球選手会からも抗議文が出ています。
このことから考えるに、中日は契約更改ではFA残留交渉を重視する方針であることが分かります。
以前にもその傾向があり、FA残留交渉で大島選手には3年契約、平田選手は5年契約を結びました。(どちらも年俸変動制の契約で、現在は大島選手の年俸が2億5000万、平田選手の年俸が1億8000万となっている)
ここに横浜の経営方針との違いを感じます。
横浜はFA残留交渉でマネーゲームに応じず、通常の契約更改で資金を用いる。
中日はFA残留交渉でマネーゲームに応じ、通常の契約更改での資金繰りが苦しくなる。
両者の違いとしては、それまで球団に尽くしてきた選手にお金を惜しまず使うかどうかです。
横浜は使わず、中日は使う。
もし横浜ファンで、なぜ球団はマネーゲームに応じないのかと不満を持つ人がいるならば、その人は中日の状態を考えるべきです。
もし中日ファンで、なぜ球団はFA選手以外の選手に資金を使わないのかと不満を持つ人がいるならば、その人は横浜の状態を考えるべきです。
そして心の中でこう問うべきです。「こうなりたいのですか?」と。
横浜や中日は、ソフトバンクや巨人のような資金を多く持つ球団ではないため、何かを得ようとすれば何かを我慢しなければなりません。
横浜と中日の違いは、何を我慢しているのかの違いです。
横浜と中日それぞれに球団の経営に対して批判的な人がいますが、何かを我慢する代わりに何かを得ているのでそれで良いのではないかと思います。
どちらの球団の経営陣も頑張っていることには変わらないと思いますし、経営陣に批判的になるのは少し違うのかなと思います。
今回の話は以上です。
次回は、ベイスターズが人的補償で巨人から田中俊太選手を獲得した意味合いについて考察していきたいと思います。