高奪三振率・高与四球率の石田、国吉、平田について
今回は、前回の続きで中継ぎについて書きたいと思います。
前回の投稿では、低奪三振率・低与四球率の山崎康晃、砂田、三上が、カウントを取る変化球の割合を増やしていて、そして成績的にも復活しているということを書きました。
今回はそれとの対比で、高奪三振率・高与四球率の石田、国吉、平田について書きたいと思います。
まずは、この3選手の奪三振率と与四球率を示したいと思います。(6月6日終了時点)
石田 奪三振率:10.16 与四球率:4.45 K/BB:2.67
国吉 奪三振率:11.28 与四球率:4.44 K/BB:2.75
平田 奪三振率:8.41 与四球率:4.43 K/BB:1.90
データを見ると、3選手とも高い奪三振能力があるにも関わらず、四球が多く、苦戦しているという現状であることが分かります。
この高奪三振率と高与四球率の背景にあるのが、空振りを奪う変化球を軸とした投球スタイルだと思います。
この空振りを奪う変化球を軸とした投球スタイルは3選手共通していて、
具体的には、
石田の場合、チェンジアップとスライダー、
国吉の場合、カットボールとフォーク、
平田の場合、スライダーとフォーク、
が投球の軸となっている空振りを奪う変化球にあたります。
国吉選手に関して、カウント球になるはずのカットボールを空振りを奪う変化球としていることに疑問を持った方もいると思いますが、
国吉選手のカットボールは、カットボールにしては曲がりが大きく、カウント球というより空振りを奪う変化球と見なすべきだと思い、空振りを奪う変化球としました。
これら空振りを奪う変化球が投球の軸となっていることをデータで示したいと思います。
上記のサイトを参考にすると、各変化球の全体の投球数に占める割合は、
石田の場合、チェンジアップ(21.67%)、スライダー(30.61%)、
国吉の場合、カットボール(43.07%)、フォーク(11.13%)、
平田の場合、スライダー(33.61%)、フォーク(12.02%)、
となっています。
空振りを奪う変化球を投げる割合は、概ね50%で、投球の約半分が空振りを奪う変化球になっており、3選手とも空振りを奪う変化球を投球の軸としていると言えると思います。
次に、空振りを奪う変化球を軸とした投球スタイルと、高奪三振率・高四球率との関係ですが、
空振りを奪う変化球は基本ボールゾーンに投げるので、それを打者が振るか振らないかが、投球の重点になっていて、
空振りを奪う変化球を打者が振れば三振に繋がり、打者が振らなければ四球に繋がるようになり、高奪三振率・高四球率になったのではないかと思います。
簡単に表すとこのような関係が成り立っていると思うのですが、
この3選手の大きな問題として、その空振りを奪う変化球主体の投球は去年も行っていたにも関わらず、なぜ今年に入って苦戦し始めているのかということがあると思います。
なぜ今年に入って苦戦し始めているのか、3選手それぞれに個別の理由があると思うのですが、
3選手共通の原因の一つとしては、采配があると思います。
この3選手は、去年はワンポイント起用が多かったですが、今年に入ってから1イニングを任されることが多くなり、またそれどころか回跨ぎをすることも多くなっています。
1イニングまたは回跨ぎをするようになると、必然的に苦手なタイプの打者との対戦も多くなり、空振りを奪う変化球を投げてもボールとして見送られることが多くなり、
カウントを悪くするとストライクを取りにいき痛打されるという負の連鎖が起きているように思います。
この1イニングまたは回跨ぎをさせる采配が、この3選手の成績を悪化させた側面はありますが、
一方でチーム全体のことを考えるとその采配が必要だったとも言えると思います。
過去の投稿で、石田、国吉が務める第二先発が投手起用のキーになっているということを書いたのですが、
第二先発などの回跨ぎをさせる采配がチームの勝利に繋がっていると思います。
石田、国吉、平田の3選手に1イニングまたは回跨ぎをさせる采配は、それぞれ個人の成績を悪化させてはいるが、チームの勝利には繋がっている、そのような采配であるのかなと思います。
最後にまとめると、
石田、国吉、平田が高奪三振率・高四球率である背景には、空振りを奪う変化球を軸とした投球スタイルがあるということ、
そしてその投球スタイルが今年に入って通用しなくなってしまった原因には、采配が関係しているが、
その采配によって個人成績が悪化してもチームの勝利には貢献している。
石田、国吉、平田については、このような状況なのではないかと思います。
今回は以上です。